投資家それぞれが興味を示す銘柄は千差万別です。
ですが、あなたがどの銘柄に興味を持ち「気になる銘柄リスト」に加えるかで、その後の投資が成功しやすいか失敗しやすいか分かれて行きます。
本記事では、私がどのように出会った(認知した)銘柄に興味を持ち、「気になる銘柄リスト」に加えているのかをご紹介したいと思います。
私が勝手に「AIRSAM(エアサム)の法則」と呼んでる購買行動モデルにおける「I(Interest)」の部分に当たります。
◎AIRSAM(エアサム)の法則
・A:Attention ・・・認知
・Ⅰ:Interest ・・・興味 ← 今ここです
・R:Research ・・・調査
・S:Select ・・・選別・選定
・A:Action ・・・行動
・M:Monitoring ・・・観察
日本語だと「興味」という意味ですね。
あなたがどんな考えやインスピレーションで興味を持ち、「気になる銘柄リスト」に加えるかの工程です。
何に興味を持つかの部分は投資の成否と分けるとても大切なところの1つなので、気になる銘柄リストを作成していない方、気になる銘柄リストはあるけど他の投資家の組み込み方を知りたい方はぜひご覧になってください。
気になる銘柄リスト作成の前提条件
1、私は基本的に業績が上がれば株価も上昇し、業績が下がれば株価も下がるという業績重視の考えの下、「気になる銘柄リスト」を作成しています。(現実は業績が上がっても株価が下がるということは有り得ます)
2、この工程の情報源としては、証券会社が提供する情報やニュース、自社HPなどによって判断しています。
3、気になる銘柄リストの構成を「グロース(成長)銘柄」、「業績反転銘柄」、「配当・優待銘柄」の3つに分けて管理しています。
グロース(成長)銘柄の「気になる銘柄リスト」への加え方
グロース銘柄は成長銘柄とも言われていて、これから大きく成長していくことが見込まれる銘柄になります。
ただあくまでも「見込まれる」であって、「必ず成長する」わけではありません。
中には注目だけは集めたけど芽が出ず右肩下がりの銘柄もあります。
ですので、私は出会った銘柄の中で下記の全ての基準を満たした銘柄のみグロース株の気になる銘柄リストに加えています。
1、市場規模が増大していく業界の銘柄であること
2、業績が右肩上がりであること
3、何か特筆すべき製品や技術、サービスなどを持っていること
4、企業が成長していく姿をイメージできること
1、市場規模が増大していく業界の銘柄であること
市場規模が増大していく業界の銘柄であることは、将来の成長とリスクヘッジ(リスクの回避)の面でとても重要です。
なぜなら市場規模が増大していくということは、市場環境が将来の企業成長の後押しをしてくれると言うことだからです。
その企業本来の成長に市場環境の後押しが加わるということになり大きな成長が見込めますし、リスクヘッジについても、その企業の成長すると目されていた技術やサービスなどの成果が思うように上がらなかったとしても、市場環境の後押しがあるため損失を軽減する効果が期待できます。
グロース銘柄は配当金がないことが多いので、リスクヘッジは大切ですね。
2、業績が右肩上がりの銘柄であること
売上や利益が右肩上がりの傾向にある銘柄を気になる銘柄リストに加えることが大切です。
グロース銘柄であっても万年赤字だったり赤字幅が増大しているような銘柄もありますので、そのような銘柄を選ばないということですね。
なぜなら、いつまで赤字が続くのか分からないからです。
一部そうではない企業(超グロース銘柄や破壊的企業など)もありますが、基本的に赤字が続けば株価は下がり続けます。
そのため、ある程度成果が出てから購入することをおすすめします。
私の場合、3年右肩上がりなら気になる銘柄リストに加えることを考えます。
3、他社に真似できない製品や技術、サービスなどを持っていること
他社に真似できない何かを持っているということは、その製品、技術、サービスなどをほぼほぼ独占できるということです。
そのため、利益の確保が容易になり、成長の大きな柱になります。
逆にグロース銘柄へ投資する場合、他社に真似できない製品や技術、サービスなどを持っていなければ投資してはいけません。
なぜなら、他社に真似できない製品や技術、サービスなどを持っていなければ成長の原動力がすぐに陳腐化(一般化)してしまうからです。
4、企業が成長していく姿をイメージできること
長期投資をしているにもかかわらず、例えば「あの有名なグロース銘柄の株価が〇〇%も下がったからチャート的に買い時」と思って購入する人がいますが、このような購入のやり方をすると、短期投資になってしまう可能性が高まります。
なぜなら、大きく値上がりをした時や大きく値下がりした時に、自分の中でその銘柄に投資した大きな理由がチャートなため、「その企業の成長力を信じることができず売却してしまう可能性が高くなる」からです。
あなたは、よく知らない銘柄が値上がりをして超割高サインが出た時や大きく値下がりしたときに、その企業を信じて保有し続けることができますか?
頭の中ではできると思っていても、いざそういう場面に直面するとできないものです。
長期投資の重要なところは、超割高サインが出ようが大きく値下がりしようが、それを乗り越えてより大きな利益を得ることです。
つまりあなたが考えた投資理由があなたのメンタルの支えになります。
そのため、投資理由をしっかりと覚えておくかメモを取っておくことをおすすめします。
これは後々、自己分析でも役に立ちます。
業績反転銘柄の「気になる銘柄リスト」への加え方
業績反転銘柄とは、長期間業績が低迷していた企業が、何らかの理由により業績が回復していく銘柄のことです。
そのため、一時的な業績低迷から回復した銘柄は含まれません。
業績反転銘柄の初期は、あまり注目されることが無いので株価は低いことが多いように感じます。
そのため、業績反転銘柄と出会って気になる銘柄リストに加えて投資できれば大きな利益を上げることができるでしょう。
赤字だったり業績低迷している企業が多く、リスクが高いので、私は下記の中の4つ以上を満たした銘柄を気になる銘柄リストに加えています。
5の企業が成長していく姿をイメージできることは必須ですし、安全重視の方は4の企業の業績に疑義の無い企業も必須にした方がいいかもしれません。
業績反転銘柄はどちらかというと上級者向けの銘柄なので、初心者の内は手を出さないようにしましょう。
1、成長業種へ転換しつつある銘柄であること
2、赤字から回復し今後の成長が見込める銘柄であること
3、成長事業での製品やサービスが同業他社と比較して優れていること
4、企業の存続に疑義の無い企業であること
5、企業が成長していく姿をイメージできること
1、成長業種へ転換しつつある銘柄であること
今まで衰退事業を行っていて業績が低迷していたけど、成長業種へ乗り出して挽回しようとしている銘柄ですね。
成長業種ということは市場規模が今後も伸びていく業界ということなので、需要は大いにあります。
そのため、方向性を間違えなければ成功しやすいと言えます。
2、赤字や業績の低迷から回復し今後の成長が見込める銘柄であること
赤字や業績の低迷から回復している企業は、新分野での成長と旧分野での衰退が混ぜ合わさっています。
衰退分野の事業規模の縮小以上に成長分野で成長している企業であることと言い換えることができます。
3期連続で赤字幅が縮小または黒字化している銘柄を気になる銘柄リストに加えると、私の経験上成功しやすいです。
今後の成長が見込めなければ気になる銘柄リストに加えてはいけません。
なぜなら株式投資は将来の企業の成長に投資するものだからです。
3、成長事業での製品やサービスが同業他社と比較して優れていること
成長業種への転換での課題の1つは、顧客が求めるレベルまで製品やサービスを高めることができるのかです。
そして顧客が求めるレベルだけでは無く、同業他社よりも優れていなければ競争に勝っていくことはできません。
そのため、製品やサービスの品質はとても重要です。
しっかりと確認しましょう。
私はその企業のHPや量販店、比較サイトなどで確認しています。
4、企業の継続に疑義の無い銘柄であること
「企業の継続に疑義がある」って言葉が難しいですよね。
かんたんに言うと、倒産する可能性が高いと自ら言っている企業のことです。
長い間赤字が続いている銘柄の中はこの「企業の継続に疑義がある銘柄」があります。
「継続企業注記銘柄」で検索すると一覧が出てきます。
◎継続企業注記銘柄一覧(6月3日付)
倒産する可能性が高い企業ということは、倒産して株式が紙切れになる可能性が高いということなので、投資リスクが非常に高い銘柄です。
ただ、こういう銘柄が回復した場合、株価が大きく跳ね上がります。
初心者の内は「企業の継続に疑義がある」銘柄に投資しないようにしましょう。
5、企業が成長していく姿をイメージできること
これはグロース銘柄の時に解説した内容と同じですので省略させてください。
配当・優待銘柄の「気になる銘柄リスト」への加え方
狙っている配当・優待銘柄を割安な時に購入するためのリストです。
そのため、あなたの狙っている配当・優待銘柄を気になる銘柄リストへ加えてください。
私はキャピタルロスが怖いので、下記の条件を付けて気になる銘柄リストへ加えています。
1、緩やかでも成長している
2、将来的にも必要な製品やサービスを提供している
3、配当利回りが良く、安定して配当を出している
4、株主優待が自分の役に立つ
5、配当性向が50%を超えていない(米国株の場合70%)
1、緩やかでも成長している
キャピタルゲインを求めるのではなく配当や株主優待で利益を得るため、成長は緩やかで問題ありません。
衰退している銘柄を気になる銘柄リストに加えてはいけません。
少しづつでも成長していることが大切です。
少しづつでも成長していれば、キャピタルロスを防ぐもしくは軽減することができます。
高配当で急成長している銘柄もありますがそういう銘柄はグロース銘柄の方のリストに含めています。
2、将来的にも必要な製品やサービスを提供している
もし将来的に衰退していくことが予想される製品やサービスを行っているのなら、その企業は衰退していくことになります。
そのため、将来的にも必要な製品やサービスを提供していることが大切です。
配当・優待銘柄はずっと持ち続けることが前提になりますので、将来的に衰退していくことが予想される製品やサービスを行っている銘柄に投資してはいけません。
そしてこれはキャピタルロスを防ぐもしくは軽減することも目的としています。
3、配当利回りが良く、安定して配当を出している
配当・優待銘柄の中で配当を主軸として利益を上げる銘柄を気になる銘柄リストに加えるための条件です。
配当利回りについては、私の場合「認知」段階で配当利回り2%以上でスクリーニングをかけたりします。
配当利回り3%以上あれば御の字ですね。
そして、安定して配当を出している銘柄に投資することが大切です。
例えば今期初めて配当を出す銘柄の場合、継続する場合もありますが、試しに配当を出してみたという銘柄もあるため、配当目的での投資には不向きです。
そして、中には理由不明で配当が無い年や少ない年がある銘柄があったり、業績低迷期は配当が無かったりする銘柄がありますが、なるべくそういう銘柄はリストに加えないようにしています。
4、株主優待が自分の役に立つ
株主優待を受け取っても、あなたの役に立たなければ利益になりませんし、もったいないです。
優待利回りというものを見かけますが、私の場合、優待利回りを見ることはほとんど無いです。
優待利回りを計算する意味すら無いと思っています。
優待利回りだけを見て投資をすると、自分の役に立たない株主優待銘柄に投資してしまうことになります。
株主優待の内容を見て、なるべく自己消費できる株主優待銘柄をリストに加えましょう。
おすすめは「QUOカード」「お米」「お米券」「たまご券」「ティッシュペーパー」「トイレットペーパー」などの金券や生活必需品です。
というのはほぼ必ず消費するため購入する労力と生活費が浮くからです。
その他、あなたが利用しているスーパーやドラッグストアなどの株主優待もおすすめです。
そして株主優待で浮いたお金を投資に回したり、自分や家族へのご褒美に何か買ってあげましょう。
5、配当性向が50%を超えていない(米国株の場合70%)
配当性向とは、税引き後当期純利益の中の総配当金額の割合を表す指標です。
例えば、税引き後当期純利益が10億円で総配当金額が1億円だった場合、配当性向は10%ということになります。
配当性向の平均は日本含むアジア株の場合20%~30%、米国株の場合30%~40%と言われています。
米国企業は株主を大切にするため配当性向が高い傾向があります。
そのため、私も米国株の配当性向基準を高めています。
配当性向が高ければ高いほど株主にとっていいのではないかと思うかもしれませんが、一概にそう言えません。
なぜなら、当期純利益のほとんどを株主のために使ってしまったら、企業が自由に使える次の成長のための原資が無くなってしまうからです。
そして私の経験上、配当性向が日本株の場合50%、米国株の場合70%を超えると株価はその後下がる可能性が高まると思っているためこの基準を設けています。
最後に
私は「グロース銘柄」、「業績反転銘柄」、「配当・優待銘柄」とリストを分けていますが、株式投資を始めた当初は気になる銘柄リストを作るという考え自体ありませんでした。
気になる銘柄リストに加える条件がありますが、これは私が経験して1つ1つ付け加えていったものです。
そして、それぞれの気になる銘柄リストにはおおよそ5銘柄くらい入れています。
私の気になる銘柄リストへの加え方をそのまま参考にしてもらってもいいと思いますが、時代は変化していくものですし、あなたに合った投資方法を模索していってほしいと思います。
最終的にはあなた自身の気になる銘柄リストを作成し、それをブラッシュアップしていき、成功しやすい投資ができる環境を整えて行ってもらえればと思います。